無線帯域(バンド)の違いによる(ドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天)携帯電話エリアと通信速度との関係

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スマートフォンなどの携帯電話通信には、様々な周波数の電波が使われています。無線電波は周波数帯域が違えば特徴が異なります。周波数の違いにより、通信エリアの広さ通信速度(ユーザスループット)などに違いが発生します。当記事では、周波数帯域(バンド)の違いにより、どのように通信エリアの広さや通信速度の違いが発生するのか説明します。

また、NTTドコモ、KDDI、ソフトバック、楽天のエリア確認用のwebサイトからの5G/4Gのエリア確認方法を説明します。

日本の通信キャリアが使う無線帯域(バンド)一覧(5G/4Gバンド)

NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天の各通信事業者は、下表に示すように様々な周波数帯域(バンド)の電波を使ってモバイル通信を行っています。利用する周波数帯域(バンド)の違いは大きく通信エリア通信速度に影響を与えます。

表:モバイル通信用の周波数バンドリスト(日本:ドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天)

周波数が低い電波、遠くまで飛びます。また、建物や障害物の影響を受けにくいです。周波数の低い電波は、広い帯域幅の確保が難しく狭い帯域幅で通信をする必要があります。そのため、速い通信速度を出す事ができません。

周波数が高い電波、遠くまで飛にくいです。また、建物や障害物の影響を受けやすいです。周波数の高い電波は、広い周波数幅の確保がしやすく、通信速度が速くなります。以下の章でより詳しく説明します。

図:周波数の違いによる伝搬距離と情報量への影響 Figure: Effect of frequency difference on propagation distance and amount of information

サブ6(3.7GHz帯域, 3.5GHz帯域)ミリ波(28GHz帯域)は5G専用の周波数で、モバイル通信用に広い周波数帯域が確保されています。

800MHz帯域や、700MHz帯域の低い周波数帯域では、モバイル通信用に狭い周波数帯域しか確保する事ができません。

日本の各通信事業者(ドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイル)に割り当てられている周波数帯域(バンド)毎の詳細帯域幅に関しては以下の記事をご参照下さい。

帯域(バンド)の違いによる無線エリアと通信速度の違い

モバイル通信の電波は「速い通信速度」と、「広い無線エリア」を同時に満たす事ができません。具体的なモバイル通信に使われている周波数帯域(バンド)について説明します。

ミリ波(mmWave)などの高い周波数(バンド)は、通信のために広い周波数幅を確保する事ができます。(40MHz~100MHz幅以上の帯域幅)そのため、高い通信速度(ユーザ・スループット)を出す事ができます。しかし、ミリ波(mmWave)などの高い周波数(バンド)は、電波が飛びにくく広いエリアを確保する事ができません。また、ミリ波(mmWave)などの高い周波数(バンド)は、建物や障害物の影響を受けいやすい電波です。

ローバンド(Low Band)やプラチナバンド(Platinum Band)などの低い周波数の電波は、通信のために広い周波数幅を確保する事ができません。そのため、通信速度(ユーザ・スループット)は低くなります。しかし、ローバンドやプラチナバンドなどの低い周波数の電波は、遠くまで飛びやすく広くエリアを確保する事ができます。また、ローバンドやプラチナバンドなどの低い周波数の電波は、建物や障害物の影響を受けにくい電波です。

モバイル通信用の周波数の違いと、周波数による特徴の違いを下の図に整理します。

図:周波数の違いによる電波特性の違い

帯域(バンド)の違いによる電波の障害物による影響の違い

5Gのモバイル通信から新たに使われ始めたミリ波と、従来の4G/3Gから使われているプラチナバンドやローバンドは電波の特性が大きく異なります。

ミリ波(日本では28GHz帯域)は、建物や障害物の影響を強く受けます。そのため、建物内部や障害物の影の部分に通信エリアを確保するのが困難です。

ローバンド(Low Band)やプラチナバンド(Platinum Band)は、建物や障害物の影響を受けにくいです。そのため、建物な内部や障害物の影の部分に通信エリアを確保する事ができます。そのため、プラチナバンドやローバンドは、広く通信エリアを確保する事ができます。4G LTE用の低い周波数の電波が5G NR用に積極的に転用されているのはこれが理由です。

図:周波数の違いによる電波伝搬の違い (建物、障害物の影響)

帯域(バンド)の違いによる無線通信エリアの違い

プラチナバンドローバンド(低い周波数のバンド)は、電波が広い範囲を飛んで広がります。1台の無線装置(RU)がカバーする範囲が広くなります。また、同時に建物や障害物の影の部分にも電波が届きやすいです。

モバイル通信の無線エリアは基地局という装置(RU: Radio Unit)で作られています。アウトドア(屋外)用のマクロ基地局1台で、半径数キロメートルから数10キロメートルの範囲の無線エリアをカバーします(ローバンドやプラチナバンドの低い周波数の場合)。

ミリ波(高い周波数のバンド)は、電波が広い範囲に飛びません。1台の無線装置(RU)がカバーする範囲が狭くなります。同時に建物や障害物の影響を受けて電波が飛びにくくなります。

図:モバイル通信システムの周波数と無線エリアカバレッジ

通信事業者はモバイル通信の無線エリアを設計する時に、複数の周波数の電波を重ねて設計します。また、周波数の違いによる電波の特徴の違いも考慮します。

都心部や、通信トラフィックの多いエリアでは複数の周波数を同時に使えるようにします。特に、人が混在するような場所では、サブ6やミリ波などの高い周波数の電波を積極的に使います。(下図参照)

田舎や人口密度の低いエリアでは、プラチナバンドなどの低い周波数の電波を使います。低い周波数の電波は広く飛び、建物の中や障害物の影の部分など隅々までエリアを確保する事ができます。(下図参照)

図:モバイル通信システムの複数バンドのオーバーレイモデル(周波数のエリアの関係)

NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天のエリアマップ(オフィシャルサイトでの確認方法)

NTTドコモの5Gエリアマップ

NTTドコモの5Gエリアは、以下のNTTドコモのオフィシャルサイトから確認する事ができます。住所検索ができ、比較的高い精度の地図で5Gエリア内かとうかを確認する事ができます。(下画像は、Webサイトでの地図の表示例)

ミリ波(28GHz帯域)のエリアは、ドコモは『瞬速5G』という名前が付けられています。狭いのでスポット的にどこのミリ波の基地局が設置されているのかを確認する事ができます。(ミリ波は、まだ対応しているスマホが少ないです。[2023年5月])

Sub6(4.5GHz, 3.7GHz)のエリアも、ドコモは『瞬速5G』という名前を付けています。5G本来の速い通信速度やレスポンスの速さを体感できるサービスエリアです。こちらも、地図上で確認する事ができます。

ドコモは、4G LTE用の周波数(3.5GHz, 3.4GHz, 2.0GHz, 700MHz)を5Gへ転用をしています。このエリアも地図上で確認する事ができます。このエリアでは5Gの通信はできますが、周波数帯域が狭いため5G本来の速い通信速度は出ません。4G用の周波数を5Gへ転用しているエリアは、主に5Gのサービスエリアを広げる目的で使われています。

図:NTTドコモのエリアマップ(5Gエリア表示)
※NTTドコモのWebサイトから参照 ※画像がドコモのエリアページへのリンクになっています。

NTTドコモの4G(LTE)エリアマップ

NTTドコモの4G LTEエリアも、NTTドコモのオフィシャルサイトから確認する事ができます。(下画像は、Webサイトでの地図の表示例)

LTEは、『PREMIUM 4G』として、LTE-advancedに対応したエリア(キャリアグリゲーションという複数の周波数を同時に使う技術)か、通常のLTEのエリアかどうかを確認できます。

また、LTE(速度別)として、どの通信速度までドコモの無線ネットワークが対応しているのかを地図で確認する事もできます。

図:NTTドコモのエリアマップ(4G LTEエリア表示)
※NTTドコモのWebサイトから参照 ※画像がドコモのエリアページへのリンクになっています。

KDDIの5Gエリアマップ

KDDIの5Gエリアは、以下のKDDIのオフィシャルサイトから確認する事ができます。住所検索ができ、比較的高い精度の地図で5Gエリア内かとうかを確認する事ができます。(下画像は、Webサイトでの地図の表示例)

ミリ波(28GHz帯域)のエリアは、狭いのでスポット的にどこのミリ波の基地局が設置されているのかを確認する事ができます。

サブ6のエリアは、5G本来の速い通信速度やレスポンスの速さを体感できるサービスエリアです。こちらも、確認する事ができます。

5G NR化」というエリアがあります。このエリアは、4G LTE用の周波数を5Gへ転用しているエリアです。このエリアでは5Gの通信はできますが、周波数帯域が狭いため5G本来の速い通信速度は出ません。5Gの中では周波数が低い事から、このエリアは5Gのサービスエリアを広げる目的で使われています。

KDDIの場合、4G LTE用の周波数を純粋に5G NRへ転用しているのか、DSS(ダイナミックスペクトラムシェアリング)の機能に対応した基地局を使う事により、5G NRと4G LTEを同一周波数で同時に運用しているのか説明はされいません。

図:KDDIのエリアマップ (5Gエリア表示)
※KDDIのWebサイトから参照 ※画像がKDDIのエリアページへのリンクになっています。

KDDIの4G(LTE)エリアマップ

KDDIの4G LTEエリアも、KDDIのオフィシャルサイトから確認する事ができます。(下画像は、Webサイトでの地図の表示例)

図:KDDIのエリアマップ (4G LTEエリア表示)
※KDDIのWebサイトから参照 ※画像がKDDIのエリアページへのリンクになっています。

ソフトバンクの5G/4G(LTE)エリアマップ

ソフトバンクの5Gと4G LTEエリアはソフトバンクのオフィシャルサイトから確認する事ができます。(下画像は、Webサイトでの地図の表示例)

Softbank 5G ミリ波(28GHz帯域)のエリアは、狭いのでスポット的にどこのミリ波の基地局が設置されているのかを確認する事ができます。

Softbank 5G サブ6(3.7GHz帯域)のエリアは、5G本来の速い通信速度やレスポンスの速さを体感できるサービスエリアです。こちらも、確認する事ができます。

Softbank 5G (700MHz帯域, 3.4GHz帯域)このエリアは、4G LTE用の周波数を5Gへ転用しているエリアです。このエリアでは5Gの通信はできますが、周波数帯域が狭いため5G本来の速い通信速度は出ません。5Gの中では周波数が低い事から、このエリアは5Gのサービスエリアを広げる目的で使われています。

ソフトバンクは1.7GHz帯域で、DSS(ダイナミックスペクトラムシェアリング)を利用しています。無線基地局がダイナミックスペクトラムシェアリングに対応する事で、1.7GHz帯域で5Gと4G(LTE)の両方を同時に運用しています。

図:ソフトバックのエリアマップ (5G/4Gエリア表示)
※ソフトバンクのWebサイトから参照 ※画像がソフトバンクのエリアページへのリンクになっています。

Softbank 4Gのエリアも確認する事ができます。ただし、どの周波数かキャリアグリゲーションによる通信速度などは地図上で確認する事はできません。

楽天の5Gエリアマップ

楽天の5Gエリアは楽天のオフィシャルサイトから確認する事ができます。(下画像は、Webサイトでの地図の表示例)

ミリ波エリア、サブ6エリアが地図上に表示されますがあまり制度は高くありません。

図:楽天のエリアマップ (5Gエリア表示)
※楽天のWebサイトから参照 ※画像が楽天のエリアページへのリンクになっています。

楽天の4G(LTE)エリアマップ

楽天の4G LTEエリアは楽天のオフィシャルサイトから確認する事ができます。(下画像は、Webサイトでの地図の表示例)

楽天の4Gエリアは、主にローバンドの1.7GHz帯域となります。

図:楽天のエリアマップ (4G LTEエリア表示)
※楽天のWebサイトから参照 ※画像が楽天のエリアページへのリンクになっています。

楽天は、KDDIの800Mhz帯域のエリアの一部をローミングしています。KDDIと楽天のこのローミング契約は、現時点2026年9月30日までの契約となっています。また、KDDIのオフィシャルサイトに、KDDIが楽天に提供するローミングエリアは地図上に公開されております。

KDDI Webサイト、楽天モバイル向けローミングサービス提供エリア [link]

KDDIが楽天に提供するローミングに関して詳細は以下のKDDIのWebページに公開されております。

KDDI Webサイト、KDDIとRakutenモバイルのローミング契約に関して [link]

まとめ

スマートフォンなどの無線通信に使われる様々な異なる周波数の電波について説明しました。当記事では、周波数帯域(バンド)の違いにより、どのように通信速度や通信エリア広さに違いが発生するのかを説明しました。

日本の各キャリア(通信事業者)が保有する周波数帯域(バンド)の詳細は以下のサイトご参照下さい。

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