5GモバイルネットワークのRAN(Radio Access Network)とは?CRANとは?DRANとは?

CRAN_DRAN eyecatch 5G Tech
[Reference] unsplash, Richard Burlton https://unsplash.com/photos/_LBR2osPHKA

モバイルの無線アクセスネットワークであるRAN(Radio Access Network)に関係する用語を説明します。CRAN(Centralized-RAN)DRAN(Distributed-RAN)の違いを説明します。C-RANデプロイメントで採用されるBBU Pooling技術についても説明します。

無線アクセスネットワーク(RAN: Radio Access Network)とは?

5Gや4Gモバイルネットワークは、大きく無線アクセスネットワーク(RAN)コアネットワーク(CN)に分かれます。下図は、5GのRANとコアネットワークを示したものです。

Fig, 5G RAN (Radio Access Network) and Core Network
  • [用語集]
  • RU: Remote Unit
  • DU: Distribution Unit
  • CU: Cauterized Unit
  • DN: Data Network
  • UE: User Equipment

RANとは、5Gや4GモバイルネットワークのRAN(Radio Access Network)の事です。RANは携帯電話(スマートフォン)などの端末を、無線接続を通してコアネットワークに接続するためのネットワークです。また、RANは携帯電話(スマートフォン)と基地局アンテナの間の無線接続を制御するためのネットワークです。

CRANとDRANの違いと、BBU(Base Band Unit)の位置

無線アクセスネットワークはベースバンド処理をするBBU(Base Band Unit)を配置する場所の違いで、D-RANとC-RANの異なるデプロイメント方法が有ります。

DRAN(Distributed-RAN)とは?

D-RANでは、ベースバンド処理を行うBBUがRadio Unit(RU)の近くに配置されます。3G(第三世代移動通信)では、このD-RANでデプロイメント方法しか存在しませんでした。5Gのケースでも人口が少ないエリアではこのD-RANのデプロイメント方法が採用されています。

Fig, D-RAN deployment

CRAN (Centralized-RAN)とは?

CRANでは、ベースバンド処理を行うBBUを中央局に集約して配置しますCRANは比較的新しい技術で、人口が多いエリアで採用されるRANのデプロイメント方法です。

5Gでは、このDRANとCRANの違いはRANのデプロイメント方法の違いとして、5Gの無線エリアを展開する場所や通信事業者の計画に応じて選択されます。

Fig, C-RAN Deployment

CRAN(Centralized-RAN)詳細

CRANのメリット

CRANは、ベースバンド処理装置(BBU: Base Band Unit)を中央局に設置する事で、ベースバンドの処理リソースをトラフィックの状況に応じて、必要な分だけ必要とするRUにアサインする事ができます。この方法により、通信事業者は高価な無線処理リソースをトラフィックの状況に応じてフレキシブルに利用する事ができます。

DRANのデプロイメント方法では各RUに見込まれる最大トラフィックを考慮したベースバンドの処理リソースが固定的にRU毎に設置されます。しかし、CRANでは必要に応じて必要な分だけ、RUにベースバンドの処理リソースが動的にアサインされます。従って、CRANではRAN全体としてベースバンド処理リソースの無駄が大幅に減ります。

Fig, Advantage of C-RAN

BBU Pooling(ベースバンド処理リソースのPooling)とは?

ベースバンド処理のリソースを中央局に集約して、必要なベースバンド処理リソースを必要なRUに対してアサインする技術をBBU Poolingと言います。BBU PoolingによりダイナミックにベースバンドリソースがRUにアサインされます。ORAN allianceなどの標準化団体によりBBU Poolingの標準化が行われました。

ORAN allianceの標準化活動に関しては以下の記事をご参照下さい。

BBU Poolingはクラウド分野の処理リソースのPooling技術がベースになっています。このPooling技術を無線ネットワークのベースバンド処理に適用したのがBBU Poolingです。

Fig, BBU Pooling

無線制御を行う処理装置をベースバンドユニット(BBU)と言います。ベースバンドユニットでは、信号処理やプロトコル制御が行われます。この無線制御処理をベースバンド処理といいます。

5Gや4Gの無線アクセスネットワーク(RAN)では、このベースバンド処理は非常に重たい処理であるため、高価な装置を大量に必要とします。BBU Pooingによりベースバンド処理のリソースはRAN全体で効率的に利用される事になります。

また、このBBU Poolingにより、RANのベースバンド処理を行うサーバーの予期しない問題、サーバーの不具合に対応する事ができます。BBU Poolとしてベースバンド処理用の汎用サーバーが複数準備されるため、サーバーの問題発生時に自動的にサーバーを切り替えるなどの対応がとれるようになります。

5G RANベースバンド処理およびプロトコルスタック

RANでは携帯電話(スマートフォン)などの端末の無線接続を制御するためのプロトコル処理が行われています。そのプロトコル処理の一部がベースバンド処理です。

ベースバンド処理とは、RANで行われる信号処理のPhysicalレイヤー以上のLayer1, Layer 2 (MAC and RLC), Layer3の処理の事を言います。ベースバンド処理には、Layer1のPhysical処理、MAC、RLCのリアルタイム性が必要とされる処理も含まれます。

Fig, Functional Split Options for 5G, (by Teppei Nagumo)
  • [用語集]
  • RRC: Radio Resource Control
  • PDCP: Packet Data Convergence Control
  • RLC: Radio Link Control
  • MAC: Media Access Layer
  • PHY: Physical Layer

NetNetとしてのCRANデプロイメント

CRANのデプロイメント方法は、HetNet(Heterogeneous Network)としてデプロイされるケースが多いです。HetNetは、広い範囲をカバーするマクロセルに加えて、スモールセル基地局など送信電力の異なる様々な形態の基地局を連携させて展開させるネットワークの事を言います。

HetNetでは、異周波間の連携がCA(Carrier aggregation)として行われます。また、同一周波数での電波干渉を低減する技術eICIC(enhanced Inter-Cell Interference Coordination)も使われます。

Fig, C-RAN deployment and HetNet

まとめ

この記事では、モバイルの無線ネットワークのRAN(Radio Access Network)について説明しました。特に、CRAN(Centralized-RAN)とDRAN(Distributed-RAN)の違いに関して説明しました。また、CRANのメリットやCRANで採用されるBBU Pooling技術についても説明しました。

RANの仮想化や、VRAN(Virtual-RAN)、ORAN(Open-RAN)に関しては以下の記事をご参照下さい。

コメント